【教材研究】生物の授業と「防災」

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防災学習ってやっぱり大事だと思った

中学理科では物化生地まんべんなく学びますが、高校生になってしまうと地学を選択する生徒がそもそも少なくなってしまって…科学的な視点から自然災害について考えるタイミングがあまりないように感じました。

台風、洪水、地震など色々な自然災害があり、日本で生活する上ではしっかり防災について考えないといけないなぁと大人になればなるほど思います。

(数年前に教員だったころ)地学の授業を持っていたときは、教科書の内容プラスアルファで災害について調べ学習する時間を取れました。

しかし、生物の時間ではそれを深めるチャンスがなかったな~と1月の能登半島地震を受けて振り返ったので、休日を利用して考えてみました。

本人は実践の場が無いので授業案だけです。実践例お待ちしてます。

 

「生物」らしい防災学習とは

今回はあくまでも「生物の授業」であることを意識した展開や探求活動をしたいですね。

ちなみに文部科学省の防災学習についての定義は一応あります。

よくある防災学習のパターンで「ハザードマップをつくる」というものがありますが、それを授業中にやるのは、個人的にはちょっと社会っぽい気がします。

  • 生態系が自然災害に対してどのように対応してきたか
  • 人間が生態系を守るために出来ることは何か

ひねり出した案はこんな感じ。「生態系サービス生物多様性につなげ、その環境と人間との関係性に気づいてもらう」というところを目指しやすいゴールとしたらいい感じにまとまるのでは…と考えてみました。

仮に、ハザードマップを作ることになったとしても、上記の説明がクリアできるようなマップを作るよう促すならそれは生物の授業でやってもアリにできそう。

 

あり得るテーマの方向性

生物多様性に注目

生物多様性が高い地域は、自然災害に対するレジリエンスが高いことが示されています。

レジリエンスとは、変化や撹乱に抵抗し、元の状態に戻ろうとする能力のことです。

生物多様性が高い地域では、さまざまな生物が生息しており、それぞれの生物が互いに支え合っています。

そのため、1つの生物が被害を受けても、他の生物がその役割を補うことができます。

具体的には、以下の理由により、生物多様性が高い地域は自然災害に対するレジリエンスが高いと考えられます。

  1. 機能冗長性

生物多様性が高い地域では、同じ機能を持つ生態系が複数存在します。

例えば、洪水を調節する機能を持つ場合としては、湿地帯や森林などが挙げられます。

このようなクッションになり得る生態系が複数存在することで、1つの生物・生態系が被害を受けても、他の生物・生態系がその機能を補うことができます。

  1. 相乗効果

生物多様性が高い地域では、生物同士が互いに作用し、相乗効果を生み出すことがあります。

例えば、マングローブ林は、海岸線を浸食や津波から守る効果がありますが、マングローブ林に生息する生物は、マングローブ林の成長を促進する役割を果たしています。

ほかにも、

  • 樹木の根系: 土砂災害を防ぐ
  • ミミズなど土壌生物: 土壌の排水性を改善し、洪水被害を軽減

といった例があります。

このように、生物同士が互いに支え合うことで、自然災害に対するレジリエンスを高めることができます。

  1. 適応能力

生物多様性が高い地域では、生物が環境の変化に適応する能力が高いことも示されているそうです。

つまり、生物多様性を保全することは、防災対策の重要な一環。生物多様性の保全・保護活動が人間のための防災対策に役立つことに気づき、そこから生物多様性と防災の関係を理解した地域づくりなど発展的に学習することもできますね。

 

生態系サービスに注目

  • 生物多様性の高い森林は、洪水や土砂災害を防ぐ効果が高い
  • サンゴ礁は、津波や高潮から海岸線を保護する役割を果たす
  • 多様な生物が生息する湿地帯は、洪水の調節機能を持つ

といった内容は教科書から派生して、生態系の分野で触れやすいので忘れずに言及しておきたいです。

 

災害が生態系に与える影響を考える

これが「THE 防災学習」って感じのテーマかもしれません。

地震・台風・津波などの自然災害は人間にとっては恐怖ですが、大自然のなかでは攪乱になりうる要素です。生態系レベルで見た時に、どういう影響があるのかを考察するのは「生物学」っぽいです。

例えば、津波が発生した場合を考えて・試しに調べてみました。

短期・長期で見た影響をまとめる

短期的な影響(例)

  • 津波は、海藻やサンゴ礁などの沿岸生息地を破壊する可能性があります。
  • これらの生息地は、多くの海洋生物にとって食料と避難所を提供するため、その破壊は海洋生物多様性に壊滅的な影響を与える可能性があります。
  • 津波は、魚、貝、エビなどの海洋生物を洗い流す可能性もあります。
  • これらの生物は、生態系の重要な部分であり、それらが失われると、他の生物に波及効果が生じる可能性があります。

長期的な影響(例)

  • 津波は、土砂や汚染物質を海に運び込む可能性があります。
  • これらの汚染物質は、海洋生物に悪影響を及ぼし、生息地を台無しにする可能性があります。
  • 津波は、沿岸線の形状を変える可能性があります。
  • これにより、一部の海洋生物が生息地や食料にアクセスできなくなる可能性があります。

 

もとに戻す・回復させるための意見や案を考える

回復させるには?

  • 津波後の海の生物多様性は回復する可能性がありますが、時間がかかる場合があります。
  • 潮間帯に生息する巻貝の仲間は津波によって個体数は減ったが、遺伝的多様性の喪失には大きな影響を与えておらず、自然災害などの攪乱に対して、遺伝的多様性がある程度丈夫であることを示す(参考
  • 生態系が回復する速度は、津波の強度、汚染のレベル、沿岸地域の開発など、多くの要因によって異なります。

どういう活動をすべきか

津波後の海の生物多様性を保護するための取り組み

  • 沿岸生息地を保護する
  • 海洋汚染を減らす
  • 持続可能な漁業慣行を促進する
  • 沿岸地域の開発を管理する

 

まとめ(発表・レポート提出)

上述した内容をまとめて発表という形で完結です。

生徒の実態に応じて、「図書館やWebで見られる論文などを参照すること」などいくつかルールを設けることで活動の内容に難易度をつけることはできそうです。

また、問題提起⇒情報収集⇒課題解決策の提示⇒ディスカッションという過程を踏めるという点と、「防災」というトピック的に生物が苦手な場合でも「政策を考えるつもりで」参加しやすいことがいい点ではないかと。

実際の政策も「企画者」「専門家」などいろいろな役割の人々が協力して作り上げている…という点を感じやすい

 

 

参考資料など

基礎的な内容としては、生態系サービスの説明を確認したほうがいいですね。

あと、公開授業でこういう内容をやるときには、流行りのSDGsなども取り入れると偉い人が好きそうです。笑

東京大学環境省の資料がとても参考になります。

Eco-DRRという、生態系を活用することで、自然災害の被害を減らすための取り組みについて学ぶことができます。

授業を展開する前に、導入や参考資料として教えてあげてから探求活動に繋げるとスムーズではないでしょうか?

 

 

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