この記事では、簡単にすぐできるディベートのやり方を紹介しています!
日本に居た頃の私は、ディベートについては「固い」印象があったのですが、カナダにきてから身近な印象に変わったので、誰かにシェアしたいな~という気持ちでまとめました!
ディベートとは?
一般的に、ディベートとは、テーマに対して肯定派と否定派に分かれ議論することをいいます。
ポイントとしては、主観的にならず客観的な意見を述べなければいけないという所ですよね。
もちろん相手側からの反論に応えなければいけませんし、その内容も自分の立場や流れを読んで臨機応変に対処する必要があります。
ディベートの一般的な流れ
(2)否定側立論
(3)第1回作戦タイム
(4)肯定側第1回反論
(5)否定側第1回反論
(6)第2回作戦タイム
(7)肯定側第2回反論
(8)否定側第3回反論
(9)第3回作戦タイム
(10)肯定側最終弁論
(11)否定側最終弁論
(12)審判団審議
(13)審判結果の発表
NHK高校講座 国語表現より引用
手順が多いですよね!笑
上述の流れでしっかりディベートをしようと思ったら何時間もかかってしまいます。教員の方に「自分の意見を主張できない生徒が多い→ディベートで練習しよう!」といい動機があっても、これではハードルが高すぎる。
かくいう私も以前はディベートをやろうという気持ちがあったのですが、ただでさえ学校のスケジュールの都合で必要最低限の時間しかなく、なかなか準備の時間が取れない…。
そこで提案したいのがもっとゆるい、簡単即興ディベートです。
即興ディベートのやり方
即興ディベートの流れ
2)2~4人の小グループで意見交換する
3)全体の討論に入るが、意見を出すタイミングは自由
4)ある程度意見が出たなと思ったところでファシリテーターがまとめをする
以下にポイントをまとめます。
司会ではなく、ファシリテーターがキーポイントで、このディベートの進行を仕切りつつ盛り上げます。
最初もいきなりテーマを言うのではなく、生徒の興味関心を引くためにクイズから始めると良いです。意見を出すウォーミングアップな感じで簡単な質問を2~3個交えつつ、メインテーマに近づいてくイメージです。
例えば、メインテーマが「義務教育は何年必要だと思いますか?」だとしましょう。
「アメリカやイギリスが何年だか知ってる?」
「世界で見ると平均は何年くらいだか知ってる?」
「それでは、義務教育は何年必要だと思いますか?」
みたいな感じです。
テーマ選びのポイントは肯定:反対が半分ずつになりそうなテーマを選ぶのがおススメです。
ディベートに慣れてきたら敢えて偏りそうなテーマを選んで、後述の3)の過程でひっくり返していくのも面白いですよ!
最初は適したテーマが選びにくいと思うので、以下の記事で例をまとめています。実際に私がディベートしたテーマを載せています。よくあるようなソーシャルメディアに関するものから、人権問題や文化的な問題など日本ではなかなか議論されないようなテーマもあって、とても興味深かったです。そういうテーマを話しあうことで、自分の持っている価値観に気づき、他人との会話を通じて新しい価値観の発見ができたのでよかったです。
いきなり大勢の前で意見を言えないので、小さいグループで意見交換は必須です。
この時にグループで意見を統一する必要はありません。
他の人がどう考えているかを共有する時間だということを伝えてください。
キーワードは「あなたはどう思う?」です。
お互いに質問し合ってなるべくたくさん意見を出すのがポイントですね。
たまたまグループ内で意見が分かれればいいのですが、もし揃ってしまった時は積極的に他の立場のことも考えるように指示できるといいと思います。
生徒が言いがちな「○○さんと同じ意見です」を封印するように伝えておくことも忘れずに…掘り下げていけば100%同じ意見はないはずです!
もし議論に躓いているグループがあったら様子を見て助けてあげましょう。
ファシリテーターの合図で全体討論に入りますが、肯定とか否定とか関係なしに意見がある人から言います。
「そんなことしたら意見がまとまらなくない?」と思うかもしれませんが、即興ディベートの目的は結論に勝敗をつけることではなく「生徒の意見の主張を促すこと」なので問題ないです(と個人的には思っています)。
誰かが意見を述べたらファシリテーターは必ずアフターコメントをしてください!
どんなに突拍子もない意見が出てもないがしろにせず、絶対にコメントを残しましょう。
そのとき、議論の方向が特定の意見(例えば肯定派が多い)に偏ってきた場合は、意図的に反対派が有意になるような質問(逆質問)をしてみてください。
肯定と否定の均衡があるほうがディベートとしては面白いです。
例えば先ほどの義務教育のテーマでいえばこんな感じです。
⇒「高校は義務教育に必要?」
「高校も義務教育にすべき」
⇒「ほんとに?みんな勉強好きなの?」
「義務教育を短くするべき」
⇒「小学校卒業して働く可能性についてはどう思う?」
みたいな感じです。
例なので短いのですが、意見が短い場合は「どうしてそう思うの?」と聞いて深堀りしていきましょう。
もう一度言いますが、意見を受け止めて、生徒の意見の良いところやポイントを褒める・確認してから他の意見を求めたり、議論の流れを変えたりしてくださいね!
理想は生徒同士で意見の言い合いになる状況ですが、議論の流れをコントロールするのはファシリテーターです。
どんなに生徒同士で議論が盛り上がってても3人目の発言者としてファシリテーターは割り込んでください。
B「でも実際は多くの生徒が高校に進学してるじゃん。高校も義務教育に入れた方がいいんじゃない?」
教員「そうですね。中学生までの義務教育で基本的なことは学べますが、多くの生徒は高校進学しています。ではなぜみなさんは高校進学をしましたか?」
こんな感じ!
派生質問を重ねていくことで、メインテーマから深いところまで意見交換することができるので、上手くハマっていくとかなり楽しいです。
自分の意見をまとめるのが苦手な生徒も、議論が進行してくれば「こういう風に言えばいいのか」わかってきます。
後半になっても意見を言えていない人が居たら、最初は「あなたはどう思いますか?」と助け船を出してあげるとベターかもしれません。
こんな意見が出たね~って感じで振り返ってみて、ファシリテーター自身が感じたことや考えたことを述べましょう。
誰のどの意見が一番かとかは決めなくていいです。
じゃあ今後あなたはどうする?みたいな感じで、参加者が引き続き今回のテーマについて興味関心を向け、考えていくきっかけを作る感じですね。
即興ディベートの注意事項
- ファシリテーター役の手腕によって盛り上がりが変わる
- 大人数だと全員参加が難しい
手順がかなり少ない=参加者の準備が少ないので、ファシリテーターの手腕によって盛り上がりが変わります。
このスタイルのディベートは「あくまでも参加者の発言をメインにしつつ、ファシリテーターが場を仕切る」必要があります。
たった20分ですが生徒の一挙一動をよ~く観察して手助けをしつつ、アフターコメントで議論を盛り上げ、進行をコントロールするのは練習が要ります。
慣れるまでは「逆質問」を考えて臨んでもいいかもしれません。
最適な人数は?
個人的には10~15人くらいがちょうどいい人数ではないかと感じています。
人の意見を聞くのも練習になるので、30数人のクラスだったら半分ずつにして様子を見てみてください。
机の形は全体の顔が見やすいのでコの字型がおすすめです…コの内側をファシリテーターが歩き回る感じですね。
私の経験上15人グループだと20分くらいがちょうどいいですね。
2)5分
3)10分
4)2分程度
1はイントロダクションに近いので、あまりダラダラせずに議論に入るのがポイントです…そのために簡単な質問をしながら本題に入っていく必要がありますね!
3については議論の盛り上がりによって+5分くらいはアリだと思いますが、様子を見ながら適度な場所で打ち切ってください。
まだ話したかったな~くらいがいいと思いますよ!
1回やったくらいで上手くはならないので、この20分のサイクルを何回か繰り返すことで慣れて行ってさらに議論が良くなります。
まとめ
実際にディベートをやろうとすると、「教材等を準備する時間がない」「大変なイメージがあってやりにくい」といった感情を抱いたのを覚えています。
いきなり完璧なディベートを目指すのではなく、「生徒が自分の意見を口に出せる環境をつくる」ことにフォーカスして気軽に実践してみてはいかがでしょうか?
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