大学推薦入試『自己PR・志望理由』の書き方とコツ

授業実践

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この記事では総合型選抜(旧AO)や公募制推薦などの志望理由書の指導について、いつからどうやって指導していけばいいのかざっくり紹介します。

夏~秋にかけて数多くの専門学校や大学で推薦入試がはじまります。

目安としては、専門学校や私立大学が7~9月頃、国立大学だと11月頃に多いです。

2020年はコロナウイルスの影響もあってか、やや後ろにズレた大学もあったので、個人的には10月が添削の忙しさピークでした。

なんとなく推薦は楽!というイメージを生徒は持っていますが、エントリーシートや志望理由書をしっかり書けない生徒が出願しても、合格するのはかなり難易度が高いです。

そのために教員が何回かチェックする作業が発生するわけですね。

実際に私が指導する時に注意してきたことや感じたことをまとめた内容なので、初めて3年生の指導をする方や悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。

 

そもそも総合型選抜って?

2021年度入試より、AO入試から「総合型選抜」という名称に変わりました

総合型選抜では、「この大学でこんなことを学びたい!」という強い意欲や入学後の目標が重視されます。

志望理由書などによる書類審査や面接だけでなく、知識や思考力・表現力等、多面的に評価する選抜方法(プレゼン形式の試験等)を実施する大学もあります。

総合型選抜は、学校推薦型選抜との共通点が多く、「推薦」という括りで考える高校生も多いです。

大きな違いは、総合型選抜では「意欲や熱意を大学に強くアピール」+「自分自身を大学が求めている学生としてアピール」できるかどうかがポイントになります。

よって、その大学の志望動機はもちろん、入学~卒業後の進路まで具体的なビジョンをあらかじめ整理し、それをしっかりと自分の言葉でまとめることが、総合型選抜合格に向けての第一歩です。

出願までのおおまかな流れ

出願先を決める

生徒に出願の意思があれば、サポートしていく形で指導がスタートします。

後述のとおり、自分の目標や目的を達成するために必要な環境があるか等、生徒自身が進路をしっかり考えた上で選べているか確認し、アドバイスします。

また、いくら面接が得意な生徒でも、筆記試験がボロボロだと合格の可能性がかなり低いので、生徒の偏差値を参考にしつつ志望先を選んだ方がいいと思います。

(体感ですが、模試の偏差値で+5くらいまでが推薦の圏内のような気がしました。)

学科人気や大学人気に左右されることもありますが、高い学力を用意しておくに越したことはないです。

入試要項を確認する

時期が来るとWebサイトに入試要項が掲載されはじめます。

必ず生徒自身に確認させて、必要であれば紙ベースで用意させておくと良いです。

その時、必要な書類・締め切り・お金などについて、保護者と一緒に確認しながらマーカー等でチェックしてくるように指示するのをおススメします。

生徒自身や保護者が入試内容について把握していないと、後々のトラブルにつながります。

お互いスムーズにやり取りできるように、最初から気を付けていきたいですね…!

志望理由書を完成させる

大学が指定する志望理由書にまずは目を通しましょう。

大学ごとに志望理由書の内容や字数制限、指定される枚数もかなり違います。

例えば、ある体育系大学の推薦では、A4サイズ4枚分もありました。笑

枚数の多さに驚き、闇雲に文字数を埋めているようでは合格ラインにはたどり着きません…。

「なぜこの大学でなければならないのか」を考えて、自分の目標や目的を達成するために志望大学の環境が必要なことを示すことが大切です。

そのために、志望予定の他大学のカリキュラムなどを比較してみることをおススメします。

特に、忘れないで欲しいのは『アドミッションポリシー』のチェックです!

『アドミッションポリシー』とは、入学者の受け入れ方針をまとめたものです。

大学が「どのような学生を求めているか」という受け入れの方向性が、大学の特色や教育理念を反映した上まとめられています。

自分がアドミッションポリシーに当てはまる人物であるということをアピールし、自分が求めている環境がこの大学にあるという事が伝わるような事を書いていきましょう。

また、「出願日の時点で完成」しているようなスケジュール感で準備すると、締め切り関連でトラブルが起きる可能性がぐっと減ります。

同時並行で面接練習・試験対策を

各種推薦入試では、小論文や面接試験、筆記試験が課される場合があります

生徒が主体的に準備できていればいいのですが、もし怪しい様子だったら一言声掛けしておいた方がいいです。

志望理由書がどんなに良くても、他がダメなら合格にはつながらないので…。

教員1人で全部抱えるのではなく、担当の先生を上手く振り分けられれば負担が少ないですね。

筆記試験はその科目の教員に指導を任せた方がいいですし、面接練習は慣れてきたら2~3人の教員からチェックしてもらうとブラッシュアップされて力がついてくるはずです。

志望理由書が固まってくると、それに伴って面接練習もしやすくなるので、早めに準備するに越したことはないです。

最近はプレゼン形式の入試も増えてきているそうです。

私も指導しましたが、教員からみて(学力はともかく)普段の授業で「はきはき発表できる」印象がある生徒でないとかなり厳しいです。

この形式で合格した生徒は、パワーポイントで資料を作成、与えられた持ち時間内いっぱいで話す練習を2か月くらい行っていました。

自主的に準備を進めていた生徒でしたが、最後は教員が間の取り方や身振り手振りも含めて指導して完成度をより高めました。

もし、プレゼンの指導が苦手な場合は、得意そうな先生に頼んだほうがいいかもしれません。

志望理由書の指導あるある

生徒の文章力が高くない

とりあえず指定の文字数超えるくらい書いてきてもらうところから指導スタートです。

いきなり文章にすると、要点を絞って書けない生徒が多いです。

その場合は箇条書きでもなんでもいいので、ヒントは最小限に「自分なりに書いてみてごらん」と、とりあえず自力で書かせてください!

その後、生徒の原稿を担任がチェックし、内容を確認しながら掘り下げてまとめていく…というスタイルですすめました。

箇条書きレベルで中身があることが書けていれば、志望理由となる「軸」はあるので、比較的容易に完成させることができそうです。

ただ、単純に文字数が多いと時間がかかるので、時間に余裕をもって指導しましょう。

私の場合、完成まで約2週間、週3回くらいのペースでチェックしていました。

生徒の志望理由や進路設計が曖昧

「こんな感じで書いたら?」と導入程度のアドバイスはしてもOKですが、志望理由=話の骨になる部分は必ず生徒に書かせたほうがいいです。

教員が意見を出すのは簡単ですが、生徒自身が自分の進路の「軸」を理解していないと、面接でもグダグダになります。

「軸」というのは、「なぜこの大学でなければならないのか」を多面的に考えた、本人の強い志望理由のことです。

厳しいことを言いますが、アドバイスしても指定の文字数を単純に「埋める」ことさえできない場合は、向いていないと感じました。

実際にあったパターンでは、生徒が自分で「文字数を埋めることもできないので、やめます」と気づき、一般入試へ向けて気持ちを切り替えました。

他の教員の例では、プレゼン形式の入試なのに生徒がこのモヤモヤタイプで、教員があれこれお世話したものの、不合格というパターンも。

あくまでも個人的な意見ですが、「軸」がないパターンでは、ひたすら時間がかかる(担任がすべて書くくらいの気持ちがあれば別)ので、長期戦を想定したほうがいいかもしれません…。

私の場合、「志望理由の骨」を作るのに1週間、添削に2週間くらいで体感1か月くらいでした。

 誰でも書けそうなことを書くのはNG

文章力もあり、自分なりの志望理由を持っている生徒で気を付けたいのが「エピソードが弱い」ことだと思います。

例えば…

×「部活頑張りました」

◎「部活でどういう経験を得たか・前後でどう変わったか」

特に、書類審査のみの1次の場合、より高いレベルでの添削が必要です。

学校生活や生活など面談を通じて分析しアドバイスし、誰かと同じような志望動機でも個性が出せたな…と思った生徒は受かりました

経験とそれに伴う学びや変化をアピールすればいいと思ったので、部活に参加していない生徒にはアルバイトで書かせましたが、通りました。(高校の学校方針的に、バイト禁止などNGなところもあるかもしれないので要注意)。

志望理由がしっかりしている生徒でも「引き出しの中身が少ない」ことがあるので、担任と面談しながら気になったワード等調べておいてもらうといいですね。

担任に説明できるレベルじゃないと、面接や口頭試問系は難しい…ということで準備はしっかりしておいた方がいいです。

まとめ

生徒を甘やかしすぎない

体感になってしまいますが、「推薦=楽」と考えている生徒が多かったです。

その気持ちに比例して書類の中身も志望理由も薄く、最初はお互いの意識のすり合わせが大変でした。

そういう気持ちだと、上述した通り、最後の面接でボロが出るし、他人にスケジュールなど含め、管理されているようでは以降の大事な手続きのミスにつながります。

実際に準備に入る前に、生徒としっかり面談してから総合型選抜や推薦入試を受験する意思を確認しておくことが大事ですね。

面談については、以下の記事でまとめてます!

「先生が何とかしてくれる感」を生徒に抱かせないように気を付けつつ、悩んでいるときにはそっとアドバイスを出せるように教員側も最低限の情報収集は行いましょう!

 

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